冷徹ドクター 秘密の独占愛
「私のせいで、診療にもたくさん穴を空けてしまいました。病院にも、患者たちさんにも迷惑をかけてしまって……」
今日は朝から受付けは電話対応に追われた。
律己先生の予約の患者さんに診療が難しいとの事情を話し、他の先生でも構わない患者さんには予約を取り直してもらった。
どうしても律己先生に診てもらいたいという患者さんには、診療が可能になり次第こちらから連絡するということになった。
「大丈夫よ。事情が事情だもの。とにかく、浅木さんが無事で良かったわ。律己も、すぐに診療できるようになるわよ」
院長の隣に掛ける奥さんも、穏やかな微笑みを浮かべて気遣う言葉を掛けてくれる。
二人に温かさに、また涙腺が緩みそうになってしまった。
私は、なんていい職場に雇ってもらったのだろう。
改めてそんなことを思ってしまった。
だからこそ、こんないい人たちにこれ以上迷惑かけたくないという想いが強まる。
「院長……私、実家に帰ろうと思うんです」