冷徹ドクター 秘密の独占愛
胸のつかえを残したまま、夕方の休憩の時間帯へと差し掛かった。
助手の三人に先に休憩を取ってもらい、最後に診療室をあとにする。
今日はこの休憩の時間に、実家に帰らなくてはいけない急用できたということで早退をさせてもらう形を取った。
その流れで、実家に帰るために職場を去るということになったと、みんなに話してもらうよう院長にお願いした。
時間を迎えるまで、仕事をしながら働く皆の姿を目に焼き付けていた。
長年働いた職場ではない。
だけど、東條歯科医院で過ごした数ヶ月は私にとって濃く有意義な時間だった。
ロッカーの中にある私物を片付ける手は、なかなかテキパキ進まない。
毎日着たケーシージャケットとパンツの白衣。
パステルグリーンのエプロンを名残惜しい気持ちで見つめる。
ハンガーにかけロッカーに仕舞うと、開けっ放しにした更衣室の向こう、控え室のドアがノックされる音が聞こえた。