冷徹ドクター 秘密の独占愛


「あ、はい!」

「プロービング。BOPもチェックして」


指示を出すと、サッとチェアーから立ち上がりカルテの記載を始める。

言われた専門用語にサーっと血の気が引くのを感じていた。


プロービングは分かる。
歯周検査のことだ。

だけど、BOPがピンとこない。

学生時代に習った記憶は何となくあるけれど、前の医院で先生に頼まれたことはなく、用語自体がご無沙汰。

まずい……。


出された指示に動き出さない私を、カルテを書き終えた副院長が不審そうな目で見据える。


「どうした」

「あ、いえ……あの……」


目が、怖い。

目力があるせいなのかもしれないけど、やたら鋭い視線で見られている気がして全身が萎縮する。


でも、わからないことを知ったかぶって、患者さんに負担をかけるわけにもいかない。

ここは正直に白状して……。

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