冷徹ドクター 秘密の独占愛
「でも、あんなですけど、患者さんには大人気ですからね、律己先生」
「え、大人気?」
「ほら、見た目が抜群じゃないですか。背高いし脚長いし、顔も小さいし顔面整ってるし」
「あ〜……まぁ、確かに」
「私たちにはきっついけど、患者さんには普通ですしね、みんな騙されてますよ」
目を合わせるのも恐ろしくなってしまった今、イケメンかどうかなんてことを悠長に観察している余裕なんて私にはない。
だけど、お通夜に訪れた副院長を見て、篠田さんも興奮気味に言っていた。
あの時は確かに私も目を奪われたけど、今はそれよりも恐怖が先行してしまっていてそれどころではない。
「ちょっと、優ちゃん、騙されてないから!
どっからどう見てもイケメンでしょ」
私たちの話が聞こえたのか、中田さんの向かいにいる下村さんが割って入ってくる。
更に私の前に座る森さんが「始まった始まった……」と呆れ顔で話題に参加してきた。
「浅木さんはどう思います? 律己先生、イケメンだと思いますよね?」
「えっ、あー……」
「弥生ちゃん、イケメンっていうのはね、中身もイケメンじゃないとダメだからね、わかる?」
諭すように森さんが言う。
それに対して下村さんは反論するように身を乗り出した。