冷徹ドクター 秘密の独占愛


「あれはツンデレなんですー! 仕事に厳しいだけ!」

「え、デレの部分見たことないけど」

「それは選ばれし者しか見れないんですよ、きっと」

「何そのご都合主義妄想は」


言い合う下村さんと森さんの声を聞きながら、チラリと副院長へと目を向ける。

こっちで話題にされているとも知らず、相変わらず難しい表情で語っているその顔を見ながら、ずっと引っかかっていることをまた考え出していた。


副院長を初めて見たのは、塚田先生のお通夜の日。

だけど、今の医院に勤め始めてから、顔を見れば見るほど違和感を感じている。

以前にどこかで見たことがあるような、会ったことがあるような、そんな気が何故だかするのだ。

でも、いくら記憶を辿ってみても思い当たる節はなく、やっぱり気のせい?というのを繰り返している。


「英絵さんそんなこと言いますけど、この間の雑誌見ました?! 私、DL(ディーエル)さんに個人的に雑誌注文しちゃいましたよー」

「えっ、物好きー……」

「……雑誌って?」


熱く語る下村さんを前に、中田さんに訊いてみる。

中田さんは取り皿に載せたシーザーサラダを食べるのを止め、「そうそう!」と言った。

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