冷徹ドクター 秘密の独占愛


私たちスタッフにはない丁寧な口調に、心の中で「ほう……」と感心してしまう。


「先生、治療がうまいなぁ! あっという間に終わっちまって驚いたよ」


噛んでもらっていたガーゼを取り出し止血の確認をすると、串田さんは上機嫌で副院長を褒める。

ピンセットをトレーに置いた副院長は、マスクを外した口元に微かに笑みを浮かべた。

真顔ばかり見てきたから、垣間見えた微笑につい見入ってしまう。


「串田さん、お酒が好きみたいですよね。今晩は申し訳ないですが晩酌は控えてください」


院長の取った問診を隅々までチェックしてきたのだろう。

毎晩飲酒をしているという情報から、副院長は串田さんにそう注意を促す。

串田さんは「はいよ」とにっこり微笑んで返事をした。

< 50 / 278 >

この作品をシェア

pagetop