冷徹ドクター 秘密の独占愛
最終日のその日も、朝から真面目に実習に出向き、普段通りの午前中を過ごしていた。
そして迎えた昼休み。
私と華世は病院を出て、近くのファストフード店へとお昼を取りに外出。
原則、実習先でお昼を取らなくてはいけないルールだったけど、学校の先生も同行しているわけではないため、「大丈夫でしょ」と言う華世の言葉に乗せられて一緒に出掛けたのがことの発端だった。
先輩たちから代々言い伝えられてきた厳しいと言われる日歯の実習。
病院の衛生士にしごかれて実習に行けなくなり、単位が足りず卒業できなくなる人も多くいたと聞かされていた。
恐れていた実習先があと半日で無事に終了する。
その日のお昼休みは、私も華世も確かに気分が高揚していた。
あれこれ愚痴を言い合ったりしても、今日で解放されることにとにかく盛り上がった。
そして話は思わぬ方向へと展開する。
「午後さ、このまま早退してカラオケ行っちゃわない?」
今思えば、その場のノリだったんだと思う。
華世のそんな提案に、勢いで「いいね」と即答していた。