冷徹ドクター 秘密の独占愛



お昼を食べ終わった私たちは、病院に戻ることなく電車へと乗り込んだ。

体調不良で早退するということにして、実習のリーダーを務める同期に電話をかけると、すでに実習に出てしまったのか電話は通じなかった。

それならメールを入れておけばいい。

電話で伝える予定だった内容をメールで知らせておけば、気付いたら病院に伝言してくれるはず。

あの時は、それ以上のことを特に深く考えることもなかった。


真昼間から平日のがらがらのカラオケ店に入り、華世と二人、少し早い日歯実習最終日の打ち上げに盛り上がる。

目の前の楽しいことにとにかく夢中だった。


この頃、実習生が帰って来ないと病院で騒ぎになっていることも、実習先が学校に連絡をして自宅に連絡されていることも、気分良く熱唱している私たちは知る由もなかった。


< 63 / 278 >

この作品をシェア

pagetop