冷徹ドクター 秘密の独占愛


「先生、ありがとうございました」

「ブリッジの部分は今日話があったスーパーフロスを使って清掃してみてください」

「はい、わかりました。あの、次もまた浅木さんにお願いしたいんですけど、衛生士さんも指名できるのかしら?」

「えっ、私ですか?」


関さんからの思わぬ要望に驚きの声を上げてしまう。

副院長は即答で「わかりました」と返答を返していた。


「では、今後は衛生士は浅木で予約を取りますね」

「あら、本当? 良かったわ〜。浅木さん、すごく丁寧に教えてくださって、話もしやすいし、また、よろしくお願いしますね」

「あ、はい! こちらこそ、よろしくお願いします! エプロンお外ししますね。お疲れ様でした!」


「ありがとうございます」と言って診療室を出ていく関さんを見送りながら、胸の辺りがジーンと熱くなるのを感じていた。

患者さんに指名したいなんて言ってもらえたこと、今まで衛生士をしてきて初めてだった。

もしかしたらまだまだ、この仕事には私の知らない魅力とやりがいがあるのかもしれない。

そんなことを考えながら、思いもよらぬ出来事に密かに心が踊っていた。


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