冷徹ドクター 秘密の独占愛



「お疲れ様でしたー」


午前中の診療が終わり、昼休み。

控え室に戻ると、それぞれがお昼の用意を始める。

牧先生と鮎川先生が連れ立ってお昼を食べに出掛けて行くと、持ってきたお弁当をレンジを入れた下村さんが「ねぇねぇねぇ!」と声を上げた。


「DLさんの営業さん、変わったんだね!」


昼休みに入ったら話題に出るとは思っていたけど、トップニュースとしてそのネタが出されて内心ギクリとしてしまう。

コンビニに出掛けるらしい中田さんは財布を手に「ああ、みたいだね」と、さほど興味がなさそうな返事を返した。


「さては弥生ちゃん、早速『カッコイイ!』とか言うんでしょ」


中田さんの鋭いツッコミに下村さんがパッと表情を輝かせる。

さすがイケメンハンター下村さん。目ざとい。


「なかなかのイケメンだったよね!今まで来た営業さんの中ではダントツでしょ」

「また始まった……」


スマホを手に黙っていた森さんは、また呆れ顔で下村さんを見やる。

その様子をクスクスと笑いながら、「コンビニ行ってきまーす」と中田さんが控え室を出ていった。

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