冷徹ドクター 秘密の独占愛


受付けの台に片手をつき、アポ帳でもチェックしている姿が遠くに見える。

そこまで確認して、こっちに振り返る前にバッと顔を真っ直ぐ上に向けた。

一瞬天井を見て、すぐに目を閉じる。


いつからいたの?

もしかして、昼休みの間、ずっと医局にいたとか?


そこまで考えて、ハッとする。


じゃあ、もしかしたらもしかして、さっき慎と話してたのも聞かれてたりする?

誰もいないと思ってたから、ボリューム気にしないで話してたような……。


パニックになりかけた思考はよからぬ被害妄想を繰り広げていく。


いやいやいや、大丈夫でしょ。
お昼食べに下に降りてからまた医局に入った可能性だってあるし。

でも待て。
そういえば今日はお昼を食べてた時、控え室の前を通っていった気配が無かったような……。


院長と副院長は、昼休みになると私たち従業員の控え室の前を通り、その先の技工室を通って自宅へと戻っていく。

控え室のドアは一部上部が曇りガラスになっていて、人が通過すれば気配を感じるはず。

だけど、今日は院長がバタバタ歩いていっただけで、それ以外は誰も通っていかなかった気がする。


じゃあやっぱり、ずっと医局に……?


< 95 / 278 >

この作品をシェア

pagetop