冷徹ドクター 秘密の独占愛
が、颯爽と歩いてきた足取りが頭上近くまで来てピタリと音を止める。
ギクリとしながらも目を開けて確認することも許されない状況に、自分の鼓動が外まで響いているように大きく聞こえていた。
怒鳴られる。
いや、叩き起こされるのかもしれない。
逃げ場のないユニットに横になった状態で、ジワリと変な汗が出てくる。
早く行ってくれ!と心の中で叫びながら、立ち去っていく時をただじっと待つ。
でも、再び聞こえてきた足音は事もあろうか更に近付いてくる。
目視できなくてもすぐ頭の近くに感じる副院長の気配。
今にも「おい」と声が掛かりそうで覚悟を決めた。