冷徹ドクター 秘密の独占愛
でも、五秒、十秒……。
一向に声は掛からない。
極限の緊張状態の中での数秒がこんなに長いなんてことを初めて体感しながら、よくわからない状況に戸惑い始める。
起こさないなら、こんな風に見下ろされている意味がわからない。
一体……何?
我慢も限界に近付き、もう目を開けてしまおうかと思い始めた時だった。
横たわる肩のすぐ横についたと思われる手が、微かにユニットを揺らす。
えっ、と思った、次の瞬間だった。
研ぎ澄まされた意識の中、頬を自分のものではない髪が撫でる。
そして、続いて触れてきた感触に、意識を手放してしまうほどのパニックに陥っていた。