溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~


 終業のチャイムが鳴り、田辺さんは机の上を片付け始める。パソコンをシャットダウンしながら花梨に話しかけた。

「今日のフルーツバスケットは女子だけで、ほのぼのまったりしてましたね」
「そうね」

 今日は部長が出張で、野口くんは風邪で休み。新條は私用で午後休。問い合わせ電話もほとんどなく、本当に静かだった。
 いつもは野口くんと新條や部長が仕様のことであーでもないこーでもないと言い合ってたりするので結構賑やかなのだ。
 パソコンの電源が落ちたことを確認すると、田辺さんは花梨に挨拶をして退社した。

 花梨はイスの背にもたれて、大きく背伸びをする。パーティションで仕切られた自分たちチームのエリアには花梨の他に誰もいない。会社では滅多にないひとりきりの空間に開放感を覚える。
 これから問い合わせ対応終了の十九時まで、仕事がはかどりそうな気がした。



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