溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
「ちょっとーっ! なに?」
「ゆうべのこと思い出させてあげようと思って」
そう言って新條は反論を遮るように花梨の唇をふさいだ。強引に落とされたキスなのに、甘く優しくて花梨の中から抵抗の意思を奪っていく。
少しして新條の唇から解放され、花梨はゆっくりと目を開く。目の前で新條がいたずらっぽく笑って尋ねた。
「思い出した?」
「……本当にこんなことしたの?」
花梨の問いかけに、新條はおおげさなほど目を見開いてとんでもないことを口走った。
「え、マジで覚えてないの? 花梨の方から誘ったのに」
「は!?」
ありえない! ていうか、事実だとするとどんだけ酔ってたんだって話。
「ウソウソ、絶対ウソ!」
「ウソじゃないよ。私が女を教えてあげるって」
「はぁ!? ま、まさか、キスだけじゃないの?」
新條の目が意地悪く細められる。
「知りたい?」
「う……」
知りたいような知ったら後悔するような……。
花梨が言葉に詰まっていると、新條がプッと吹き出した。
「安心していいよ。キスの途中で花梨寝ちゃったから。まぁ、オレとしても酔った勢いでってのは本意じゃないしね」
そう言ってサラリと頭をなでる。花梨がホッと息をついたとき、新條が再び覆いかぶさってきた。
「というわけで、目が覚めたなら続き教えてよ」
「酔っぱらいのたわごとを本気にしないで! 第一あんた、女に興味ないって言ってたじゃない」
腕を突っ張りながら新條を突き放して、花梨は必死の抵抗を試みる。その腕をつかんで新條はしれっと言い放った。
「興味なかったよ。でも花梨のせいで目覚めちゃったんだ。責任とってよ」
「何の責任!?」
「自分の言動に対する責任。お酒は大人だけに許された娯楽なんだから、酔って記憶がないので言ったこともやったこともなかったことにしてくださいって、大人の言い訳じゃないよね」
大まじめに正論をぶつけられて、花梨の勢いは削がれる。
「そう、だけど……」
「じゃ、責任とって」
新條が勝利の笑みを浮かべた。
なんとなく言いくるめられたような気がしないでもないけど、どう責任をとったらいいのか聞いてみる。
「どうやって?」
「だから、続きを……」
「それはダメ!」