溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
花梨がすっかり振り袖に話を脱線させていると、後ろからガシリと肩を掴まれた。耳元に新條の低い声が響く。
「こら。オレはスルーか」
「あ、ごめーん」
苦笑しながら振り返ったとき、新條の横に不愉快そうな表情をした彼の叔父さんがいることに気がついた。しかもバッチリ目が合ってしまった。
ヤバイ。空気読めないアホな女と思われたかもしれない。
笑顔をひきつらせる花梨を新條が叔父さんに紹介する。
「彼女がオレの大切な人」
大切な人。
改めて本人の口から直接聞いて、胸の奥がキュンと締め付けられるような感覚に舞い上がりそうな気分になる。
だが、ハッと我に返って花梨は頭を下げた。更なるアホ女ぶりを晒すわけにはいかない。
「宮村花梨と申します。貴陽さんとは入社当時から仲良くおつき合いさせていただいてます」
うそじゃないし。と心の中で補足する。顔を上げると、叔父さんが穏やかな笑みを浮かべて見つめていた。
穏やかというか、気の毒がられているというか、憐れまれているというか。アホ女イメージが定着してしまったのだろうか。
叔父さんはフッと息をついて花梨に言う。
「すまないね。貴陽から恋人のフリをするように頼まれたんだろう?」
「いえ、そんなことは……」
「そうきたか」
叔父さんお見通しではないか。とうろたえる花梨の隣で新條は呆れたようにため息をついた。