気まぐれな君は
調べれば調べるほど、絶望的な記述しか出て来なくて私は途中で調べるのをやめた。考えているうちに寝落ちしてしまって、朝慌てて風呂に入ったのは内緒だ。
こんな病気を、真白くんは中学生の時から背負ってきたんだ。途中からは、柳くんも一緒に。たった十四歳でしかない二人がちゃんと受け止めて、今ではその対処がきちんとできるようになっている。生半可な気持ちではいられなかっただろうな、と軽率に考えて、私なんかが分かるような気持ちじゃないとやめた。
「まあ、とりあえず一息入れるか」
「ん、そうだね。都築さん、適当にそこらへん座っていいよ。部屋汚くてごめん」
「お邪魔します」
「ふっ、そんな硬くならなくてもいいのに」
だって同級生男子の部屋に入るの何て初めてだからどうしていいのか分からなくなってしまった。気にしない、と言ったのは私だけれど、正直そこまでは考えていなかった。
汚い、とは言ったもののお兄ちゃんの部屋よりはきれいな部屋は、きちんと整理されている。ぽいっと手渡されたクッションを抱えてローテーブルを囲んで三人で座ると、開けっ放しの入口からにゃあんと猫の鳴き声。
「……猫の真白?」
「おーそうそう。真白、おいで」
「冬馬が真白って言うとどっちのことよんでるか分からなくなるんだよね」
「んだよ、俺家では真空って呼んでんだろ」
「そうだけどさあ」
猫の真白が柳くんに近づいていくのを見ながら、多分男の子だな、と見当をつける。身体が大きいし、何より骨格がしっかりしている。いくら大きいとはいえメス猫でも骨格までは変わらない。
後姿からわかるもので完璧にオスだと確定したため、猫の真白くんは紛れないように白くんと呼ぼうと決めた。
「白くん、大人しいね。柳くんに懐いてる」
「冬馬は家近いし、真白拾ったときも一緒いたし。よく遊びに来るから、真白もすぐ懐いてたよね」
「というか最初の頃は俺っつーより人間に対して警戒してたからな。……何でかお前には最初っから懐いてたけど」
「あれね。まあ俺だから?」
「お前猫のことになると訳分からん自信持ち出してくるよな」