time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「引っ越したのか?」


「まぁ、そんなとこ。」



宗に浅葱のことを話すつもりはない。


…というか今は浅葱のことから解放されたい。



「新しい家はこの近くか?」


「そうでもない。」


「そうか……なら、駐車場に車を止めてあるから、そこまで歩けるか?」


「大丈夫。」


本当は今にもコンクリートの地面に横になりたいくらいだった。


でも、そんなことをすれば宗に迷惑をかける。


あたしは両足を踏ん張り、宗に寄り添ってもらいながら、駐車場までの道のりを歩く。



「すぐ取ってくるから座ってろ。」



駐車場につくと、順番待ちの人のための椅子が置いてあり、あたしはそこに腰掛けた。


目の前には自動販売機が音を鳴らしている。


ジュースを買うとルーレット式で何かが当たるみたいだけど……


こういうのって本当に当りがあるんだろうか?


ジーっと自動販売機と睨めっこをしていると、何分も立たないうちに車が止まり、宗があたしを再び支えてくれる。



「なんか年寄りみたい。」


「何言ってんだよ。閉めるぞ。」


中に乗り込んだのを確認すると宗は助手席の扉を閉めた。
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