time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「さぁ~て行くか。」
お前は何かを吹っ切ったかのように清々しい顔をして段ボールを一つ持ち上げる。
「車は?」
「あっ?車?」
何言ってんだ?って顔で俺の顔を見ているが、それはこっちの台詞だ。
「秀か誰かに車頼んだんじゃねぇのかよ?」
「頼んでない。」
「じゃあ、どうやって運ぶんだよ?」
そうだった……
コイツは昔からこうだった。
肝心なことは話さねぇし、どこか抜けている。
俺が前もって聞いておくべきだった……
今更、気付いたって仕方のないことでも、ガックリと肩の力が抜ける。
大きく息を吸い、ため息を吐こうとしたその時、カナが喋り出した。
「段ボール2つくらい運べねぇのかよ?情けない男になったな。」
「あっ?」
「睨んでる暇あるなら、さっさと着いてこい。」