time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「話すと長くなるな……でも、話さないと教えてくれない?」
「どうして?まだ知っているとは言ってないよ。」
文ちゃんの態度を見ていれば、知っていると言っているようなもの。
「知っているけど、知っているとは言いたくない?」
あたしは逃げようとする文ちゃんの瞳を捕えた。
「アルコールが入ると本当に話上手になるみたいだな。ハハッ。知っているよ。ただ、理由もわからずに教えることは出来ない。俺も客商売だから。」
「わかった。」
あたしが話す覚悟を決めると文ちゃんはカウンターの中から、あたしの隣へと席を移動した。
そして、浅葱との関係すべてを話し始める。
こんなに事細かく話す必要はなかったのかもしれないけれど、あたしは記憶の中にある浅葱とのすべてを洗い浚いぶちまけた。
もしかしたら、誰かにこうして聞いて欲しかったのかもしれない。