ヒステリックラバー
「武藤さん?」
「………」
武藤さんは何も言わない。あまりに急に拘束されて私は驚き、涙で目が霞んできた。
「ふぅ……」
武藤さんの荒い息が首にかかる。
「あっ」
武藤さんはゆっくりと私の首筋に唇を這わせてきた。
「ちょっ!」
あまりの事態に首を動かして抵抗するけれど、武藤さんの唇に吸われる感触がした。
驚いて武藤さんの肩を思いっきり押したけれどカバンとペットボトルを持ったままで力が入らずびくともしない。
「やめて!」
私の叫び声にやっと唇を離した武藤さんは私を正面から見つめた。そのまま数秒間見つめ合った。武藤さんの鋭い目付きと荒い呼吸に完全に怯えていた。少しでも動いたら武藤さんに何をされるかわからない恐怖がじわじわと私を支配した。
顔が近づいてきた。けれど怯えて動けない私には武藤さんを拒絶することができない。
ゆっくり近づく顔と顔が数センチの距離になって私は更に震えた。
「武藤さん……放してください……」
声までも震えている。それでも武藤さんは私を拘束し続ける。徐々に近づく唇を拒絶するように顔を背けると、武藤さんの手が私の顎に添えられ無理矢理正面を向かされた。
「やめて……」
目をぎゅっと閉じると武藤さんの唇が私の唇に触れてきて涙が頬を伝う。抵抗しようと肩を押したりシャツを掴んでみたものの、唇は離れず武藤さんの体は微動だにしない。私がこれ以上抵抗しないようにか、震える肩に武藤さんの手が置かれた。
「ん……」
口を無理矢理塞がれ息が乱れる。呼吸をしようと口を僅かに開いた瞬間武藤さんの舌が侵入してきた。