生存税
「ちょ、っ.....あれ?」
先ほどまでいたはずの場所から、青年は姿を消していた。
隼がたどり着くのに遅かったという事もあるかもしれないが、この先は一本道しかなく、この何秒かで居なくなるなんてありえないことだ。
周りをきょろきょろと、見渡すが、影すらもない。
眼鏡を掛けていなかったから、ただの身間違いだったのかも知れない。
そう思って、諦めて家へ戻ろうとした時だった。
「僕になんか用?」
声のする後ろを振り向くと、恐らく先ほどの青年らしき人物が腕を組んで電信柱によっかかっていた。
スラッとしたスタイルの良い体形に、長い手足、目にかかった長い前髪。
隼と恐らくほぼ変わらない年齢。
顔はぼやけていてよくは見えないが、きっとかなりの美少年だ。
「あの...、僕、今日ここに引っ越してきて、その..住民の人、ですよね。」
「あーもしかして税金の事でしょ、この町、よくわかんないよね。」
「そうなんだけど、あれって、なんの税?なのかな。」
青年は、くすりと笑って隼の耳元で静かに囁いた。
「...生きるための、大切な税なんだ。」
隼は、耳を疑った。
生きるための税って、先から先まで全く意味がわからない。
「どういうこと..?」