ワケがありまして、幕末にございます。ー弐ー




「ただい、ま…戻りました」


「…っ」




アタシが背後からそう言って、振り向いた土方が顔を崩したのは一瞬のことで。


それでも普段は絶対やらない様な…アタシの体を支えるように抱き寄せ




「よく帰った」




と一言告げた。














「そう、ですか…」




丞の手当てを受けながらアタシは源さんの訃報を聞いた。


もう源さんの煎れたお茶を飲むことも、柔らかく深いシワが特徴の笑顔を見ることもできない。


…源さん、お休み。



1回、深く息を吸ってツーンとする鼻の奥を鎮める。




「近藤さんは肩大丈夫ですか」


「お、おお勿論だ。
なんせ君の妹がずっと見張ってるものだから」


「近藤さんてばすぐに体動かそうとするんですから。
こっちの身にもなって下さいっ」


「うっ…、」


「大体愁くんもこの怪我何です?
さっき部屋に入って来た時血まみれすぎて一瞬誰か分かりませんでしたよ」


「それは皆を少しでも…」


「言い訳はきーきーまーせーんー」




プンプン怒る沖田さんの頬はまた細くなり目の周りはくぼんできていた。


アタシなんかより、ずっと辛いのに。

それでも笑顔でいてくれる彼には感謝と敬意がこみ上げる。




「それに土方さんには言って私には言ってくれないんですか?」




抱擁もされてないです



とアタシから顔を背けてる沖田さん。



…ほんとこの人可愛いな。




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