ワケがありまして、幕末にございます。ー弐ー





ギュウしようと腕を伸ばせば邪魔なものがアタシの腕を遮る。




「ちょい待ち、沖田さんは早う横になって下さい。
市村、お前も傷あること忘れるな」




この手はお前かこの関西弁。

くそう、どけろや沖田さんに触れないじゃん。


心で文句を言うアタシに対して素直な沖田さん。




「いーやーでーすーっ。まだ愁くんから言ってもらってないんですよー。
ってゆうか山崎さんもその手を離して下さいよ~」


「せやったらたまには兄の言う事も聞いて下さい」


「「えっ、」」


「え…」




驚くアタシと沖田さんに丞の体が固まる。




「丞が…」


「オニイサンなんて…」


「心外」


「慮外」


「俺が兄なんはそない嫌か」




(´_ゝ`)

若干泣きそうで複雑そうな顔がすごく面白い。




「「…プッ」」


「ふふっ、ふっ」


「くくくっ」


「ふはっ、はっはっは」




左之や近藤さんに珍しく土方まで笑っていて。


固まっていた丞も体を震わせて笑いだす。




「はっはっはっは…。
なぁトシ、いや皆」


「「「………」」」


「俺達は家族だ。俺達がこうして一緒になれば勝てるさ。
将軍様をお守りするのは俺達だ」


「ったりめぇよ!」


「このままじゃあ、俺達も不完全燃焼ってな」




穏やかで、それでいて力強い近藤さんの声に賛同する左之と新八っちゃん。


そこに低く掠れた声が小さく響いた。




「…あぁ、まだまだだ」




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