私に触れて、そして殺して


早めに閉める、


そう言っていたタツヤ
時計を見ると、午後4時を指そうとしていた
タツヤは身体が不自由のミノルさんのカットへ出かけている
多分、また依頼されているんだろう


早めに閉めると言っていたから
店の方は閉めてしまおうと動いた
田舎だから
毎日お客さんが来るわけではない

働いていた頃は
流れ作業みたいな感じで
お客さんのことも資料を見ないと
把握できないでいた

でも、今は違う
タツヤもこの生活を気に入ってくれて
私も…気に入っている
このまま、何事もなく
時間が解決してくれる

本当に、そう思っていた



と、その時
店のドアが開いた
タツヤが帰ってきたのだと思い
おかえり、と声を掛けた

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