私に触れて、そして殺して
…っ、
そこに立っていたのはタツヤではない
「変わらないね…、サラ」
店に入って来たのは
わたしをサラと呼ぶ男…
それは忘れもしないレンだった
「探したよ。この1年…。急にいなくなっちゃうんだもん」
にっこり笑うレンに寒気が走る
この笑顔に何度騙されたことか
タツヤに連絡を、と手探りで
固定電話の子機を探す
「警戒してる?大丈夫だよ。今日は何もしない。ただ、サラと話がしたかっただけだから」
『…話?』
油断してはダメだと
商売道具であるハサミを握りしめる
万が一のため、とはいえ
その手は震えている
ニッコリ笑ったレンは椅子に座り
クルッと回転させ始めた