私に触れて、そして殺して


…っ、



そこに立っていたのはタツヤではない



「変わらないね…、サラ」



店に入って来たのは
わたしをサラと呼ぶ男…
それは忘れもしないレンだった



「探したよ。この1年…。急にいなくなっちゃうんだもん」



にっこり笑うレンに寒気が走る
この笑顔に何度騙されたことか
タツヤに連絡を、と手探りで
固定電話の子機を探す


「警戒してる?大丈夫だよ。今日は何もしない。ただ、サラと話がしたかっただけだから」


『…話?』


油断してはダメだと
商売道具であるハサミを握りしめる

万が一のため、とはいえ
その手は震えている


ニッコリ笑ったレンは椅子に座り
クルッと回転させ始めた

< 225 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop