私に触れて、そして殺して



「用があるのは、俺じゃない。あの人だよ」



レンは二つ折りにされた紙を
入口のカウンターへと置いて行ってしまった
バタン、と閉められたドアに安堵し
その場に座り込んだ

ぎゅっと握りしめていた手が
まだ震えている
恐れていたことが起きた
もう、ダメだという衝動に駆られる


暫くして、落ち着いたのか
手の震えも止まり
ゆっくり立ち上がり
レンが置いて行った二つ折りの紙を手にした



レンが言っていたあの人、
それは、三吉さんのことだ
紙を開いて見ると
そこには予想外なモノが載っていた


手書きの文字で
「また明日、会いに来る」と書かれていた
また明日…
それは自分の目で確かめろという事だろうか

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