私に触れて、そして殺して



この指輪は、もらえない



そう思っても
その言葉を発することはできない
このおめでたい空気の中

ごめんなさい、の気持ちが上回り
下を向いたまま泣いてしまい
余計、勘違いをさせてしまった


ヨシコさんは
私に駆け寄り肩をさすり抱きしめてくれる
おめでとう、とも言われず
指輪にすら触れてこない

私からその話題を遠ざけようとしてくれた


「タツヤくん、顔が強張ってるわよ。はいはい、飲んで飲んで」


ヨシコさんは気がついていたのかもしれない
私の涙の理由に…


涙が止まった頃には
目の前に座っていたタツヤは
ゲンさん達と別の席でワイワイと騒いでいて
「お腹すいてない?」と
ヨシコさんが私の相手をしてくれていた

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