私に触れて、そして殺して


その熱意が伝わったのか
先輩は何も言わず
鏡に映った自分のボディラインを見ていた


『とても、素敵です』


仕事をしている以上
使う言葉を使うだけ


「…これ、買うわ」


『ありがとうございます。新品をご用意致しますので、着替えの方をお願い致します』


これで終わりだ、と
会釈をし試着室を出ようとしたら
あのさ、と止められてしまった



「彼に何を言ったの?」



いきなり話をされ
何のことだろう、と戸惑ってしまう
少し考えるて
先輩が言った“彼”がタツヤということはわかる
でも“何を言った”と聞かれても
何かを言ったのだろうかと考えてしまう


『私には何のことかわかりかねます』


これがベストな答え
そう思ったが、納得していない様子だ

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