私に触れて、そして殺して


仕事…ではないだろう
なら誰かと会っている?

疑いたくはないが
三吉さんの目を盗んで
スーツの上着のにおいを嗅いでみるが
怪しいにおいはしない

ワイシャツだって
ベタだけど
匂いも何も付いていない


なら、何をしているの?
不安だけが募り
あんなに満たされていた心に影が生まれる



「次の休み、新しい家具を見に行こうか」


『…うん。でも寝不足じゃない?』


「大丈夫だよ。今、ちょっと忙しいだけ」



ちょっと?
三吉さんの言葉に違和感を感じる
でも、これ以上は踏み込めない
一度男に捨てられた私は
裏切られるのが怖い
なら、知らないふりが一番いいかもしれない

三吉さんの言葉を信じるしかないのだ

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