君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
スマートに手を握られる。

待ってた?
私を?

いや、待たれる心当たりなんてない。
あ、もしかしてミュージカルの練習?

そんな可能性を考える。

「大丈夫?」

考え込んでたせいで、すぐ目の前まで彼が迫っていることに気が付かなかった。
その近さに、ドキッと胸が跳ねる。

「だ、大丈夫です。
えっと、、あなたは?」

そう問いかけると、彼はにっこりと微笑んだ。
私の警戒心を解く、お手本のような笑顔。

「リンタール王国の第一王子、カナト。

この部屋は、リンタール城の外れにある鏡の部屋と呼ばれている部屋だ」

まとう雰囲気すら煌びやか変える魔法。
舞台人でもここまでのことはなかなかできない。

って、…ん?

今のも台詞かな?
私はからかわれてる?
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