君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「君は?」

「か、神楽弥といいます」

思わず名乗ってしまった。

すると、彼は続けた。

「ここは、君の知らない世界だよ」

…。
ぽかんと、思わず口を開けてしまう。

「知らない世界って…、何言ってるの?」

いくらかっこよくたって、そんなことを言われたら苦笑いをするしかない。

「自分の目で確かめるのが一番早いよ。
ほら」

扉が開かれると、ひんやりとした夜風が部屋の中に吹き込む。
思わず目を潜めたその先に見えた光景に、言葉を失った。

「…っ」

夜の闇の中に浮かび上がるのは、真っ白な壁に青色の屋根の大きな城。

舞台のセットとはまた違う、豪華さ、そして存在感。

そう、あれは、紛れもなく本物の城だ。
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