君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「これ。
シンから預かっておいた」

それは身分証となるブレスレット。
拐われたときに落としたんだった。

はい、と言って手首に結んでくれる。

「ありがとう」

「神楽弥が来てから、幸せだって感じることが多くなった。

何気なく過ごしてた日常が、大切になっていったんだ。
ずっと、神楽弥と同じ景色を見ていたい」

「…私も、だよ」

すごく嬉しいことを言ってくれてるのに、上手く返せないのは、カナトの言葉に切なさが混ざってるから。

本当に言いたいのは、別にあるんだろう。

そしてそれは、言いたいけど言いたくないそとなのかもしれない。

だから、カナトの表情も曇ってるんだろう。
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