君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「これ、見てほしいんだ」

そう言って取り出したのは、一冊の古い本。

あの夜に見た、カナトが慌てて引き出しに隠してた本だ。

最初のページをめくると、リンタールが支配されていたときのことが書かれてある。

これは、鏡の部屋に来た女性が、リンタールの為に戦ったっていう、前に話してくれたものだろう。

前に見せてもらったのは絵も一緒に描いてあったけど、これは文字だけだ。

「こっちが、史実に基づいて書かれた本なんだ。
前に見せた絵本は最後が変えられている。

本当の結末は、元いた世界に戻ったっていうものなんだ」

「え…」

頭を強く殴られたような衝撃が走る。

戻ったってことは、何か戻る方法があるってこと?
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