君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「随分熱心ですね。
何の本を探してるんです?」

「シン…。

その、リンタールの歴史を知れたらいいなって思ったんだけど…。
全ての本がここに揃ってる訳ではないの?
他に本が置いてある場所ってある?」

「歴史、ですか。

図書館には滅多に入らないんでよくわからないですけど、ここ以外に本が置いてある場所なんてないと思いますよ」

「そうだよね」

じゃあやっぱり、絵本以上のことは知ることができないのかな。

「そんな頭ばっか使ってると、疲れますよ。

気分転換に良い所連れていってあげます」

ということで、私たちは城の庭へと飛び出した。

だけど、なんだか、話を逸らされたようで、少しだけ引っかかりが残った。
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