寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
ファンファーレが青空に響いたと同時に、王城のバルコニーに王太子夫妻が姿を見せた。
ミノワスターの王太子テオとランナケルドから嫁いできたセレナ王女だ。
長きにわたる両国の良好な関係の中で、王族同士が婚姻を結ぶことはこれまでにもあったが、王子と王女同士が同時期に結婚することは初めてだ。
今日、テオとセレナが結婚式を挙げ、三か月後にはカルロとクラリーチェの結婚式が予定されている。
両国の絆が強固になるこのふたつの結婚を、誰もが待ちわび、この一か月、国中が柔らかな空気に包まれていた。
バルコニーに並び、手を振る王太子と王太子妃。
結婚式を終えたばかりのふたりの表情は明るく、王太子妃の腰を抱く王太子の顔は緩み、心からこの結婚を喜んでいるようだ。
時おり見つめ合うふたりの間には遠目からでもわかるほど甘い空気がたちこめている。
一年前に突然婚約者が変わったとは思えないほどの仲の良さを見せられて、国民はみなホッと安心する。
「テオ殿下、セレナ王太子妃殿下、おめでとうございます」
「お幸せに」
ミノワスター王家の紋章が記された手旗を振りながら、国民たちが祝いの言葉を口にする。
王城前の広場は大勢の人々で埋め尽くされ、身動きひとつとるのも難しい。
結婚式の日取りが決定してから一年、この日を待ちながらそわそわしていたのは国民たちだけではない。
セレナも待ち焦がれていた。
輝く金色の髪を高い位置で結い上げた頭には、ミノワスターの妃となる女性が結婚式で身に着けるというティアラが光っている。
胸元が大きく開いた白いドレスに包まれ、鎖骨を飾るダイヤモンが彼女の整った顔と滑らかな肌をいっそう引き立ている。