寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
そのペンダントは婚約と同時にテオから贈られたもので、セレナはその準備のよさに驚いた。
赤みが差した頬を輝かせているセレナの横で、テオもバルコニーから手を振る。
セレナの横顔をチラチラと見ては、ウェディングドレスをまとい、念入りに化粧をほどこされた姿に目を細めている。
テオがセレナの腰に回した手に力を込め、さらに密着させると、セレナの体は大きく揺れた。
履きなれない高さのあるハイヒールのせいで、バランスを崩してしまったのだ。
よろめいたセレナは、そのままテオの胸に飛び込んだ。
その瞬間、広場に集まっている人々の歓声や冷やかしの声が響き渡り、セレナの頬は一気に赤くなる。
「ちょ、ちょっと……殿下、あまり力を入れないでください」
セレナは姿勢を正しながら、テオの顔を見上げた。
瞬間、あまりにも近くにあるテオの唇に気づき、ハッと視線を逸らした。
「それほど強い力じゃないだろ」
顔を真っ赤にしているセレナに、テオはニヤリと笑い、人々に見せつけるように額と額を合わせた。
地鳴りのように響く歓声が広場から聞こえ、テオはセレナの腰に置いていた手を彼女の肩に回し、きつく抱き寄せた。
「ほらほら、ちゃんと笑顔で手を振らないと、みんながっかりするぞ」
テオは視線を広場に向けたまま囁き、ゆっくりと手を振った。
ロイヤルカラーである濃紺の生地に丁寧な金色の刺繍がほどこされた豪華な正装姿のテオは、機嫌よく手を振っているが、彼が今思うことはただひとつ。
「早くふたりになりたいから、手を振れ」