寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
一方、もともとミノワスターに嫁ぐと決まっていた人気の高いセレナと、明るく人当たりはいいとはいえ、王太子としての教育を受けてこなかったテオ。
ふたりの仲を危ぶむ声は多かったが、結婚式を終え、こうしてバルコニーから仲良く手を振るふたりの姿を見て、国民は一様に安心した。
その安心感に加え、ふたりが並べば美男美女同士、見るだけでも心が和む。
国民たちは心からこの結婚を喜び、祝いの言葉を口にしている。
「セレナは昔から国民たちに好かれてるよな。ミノワスターに来たら王城に来る前に仲がいい農家のじいちゃんばあちゃんに会いに行くし、おいしいものがあると聞けば馬に乗って勝手に行くし」
テオは呆れた声で呟いたが、その声からは優しさが感じられる。
「……だって。みんながおいでって言ってくれるし、一度行ったらまた会いたくなるし」
テオの言葉に、セレナはこれまでの自分を振り返り、焦った。
たしかに、ミノワスターに来ても、王城にいるより城下をうろうろしたり、郊外まで馬を走らせて農家にお邪魔したりしている。
「国民と仲良くするのはいいが、これからはまずは俺を最優先に考えてくれよ。行きたいところがあれば俺も一緒に行くから」
「え?」
力強いテオの言葉に、セレナは視線を向けた。
「夫婦は一心同体。どこに行くのも何をするのもこれからは一緒だ」
相変わらず爽やかな笑顔で手を振るテオの言葉に、セレナの胸はドキリとする。
「見てみろよ。俺らの結婚を祝ってくれる国民たちがこんなにいるんだ」
「そうですね」
ふたりが手を振る向こう側には、多くの人々が広場を埋め尽くしている。
広場を出て城下につながるいくつかの通りにもたくさんの人が手を振り、歓声をあげている。
テオとセレナはその圧巻の景色を見回すと、さらに大きく手を振った。