寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
その日の夕方、ふたりの結婚を祝う晩餐会が開かれた。
周辺国の中でもずばぬけて広い国土を持ち高い軍事力を擁するミノワスターの次期国王の結婚となれば、招待客の数はかなりのものだ。
各国の王族や貴族が中心の顔ぶれは華やかで、ミノワスターはこの数日次々到着する招待客の話題でもちきりだった。
晩餐会の会場は広く、豪華な内装に招待客の誰もが目を奪われた。
セレナは王城に子供の頃から何度も来ているが、晩餐会に出席する機会は滅多になく、この広間に入ったのも数えるほどだ、。
幾つもの大きなシャンデリアの?燭が部屋を照らし、アーチ型の天井には細かい浮彫がほどこされている。
窓にかけられているカーテンは濃紺で、銀糸でミノワスター王国の紋章が刺繍されている。
白いテーブルクロスが印象的な長テーブルの端に着いたセレナは、その紋章の大きさに目を見張り、どれだけたくさんの糸が使われたのかと見入っていた。
長テーブルには招待客がずらりと並び、周囲の人々と歓談している。
セレナに並んで座るテオは、時折セレナと言葉をかわしながら、祝いの酒を楽しんでいた。
「飲むか? といっても、セレナにはジュースだけどな」
「あ、うん。……ありがとう」
テオが手元に置いたグラスを手に取り、セレナはそれを口にする。
ミノワスターの特産物であるクランベリーのジュースだ。
ほどよい酸味に刺激を受けながら、キレイな赤い色にほおっと目を細めた。
祝いの席なのだから、これまで飲んだ事がないワインに挑戦してみようと思っていたが、テオはそれを許さなかった。
せっかくなのに、とテオの手元にあるワイングラスをちらりと見れば、テオはそれを一気に飲み干した。
「お前は酒を飲んだらすぐに顔が赤くなるだろ? そんな顔、かわいすぎて見せられるかよ」
婚約式の時、シャンパンをほんの少し口にしただけでセレナは顔を赤くした。
その時、ふわりとした顔があまりにもかわいくて、テオは思わずセレナの体を胸に抱き寄せて周囲から隠してしまったほどだ。
「それを飲んだら、そろそろ引き上げるぞ」
テオはセレナの耳元に囁いた。
「え、もう? だけど、まだ終わってないんですけど」
セレナは驚いて辺りをキョロキョロと見回した。