寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
 すでにミノワスター国内でも人気が高いうえに、念願の水路が建設されるという最高のオプションがついたセレナとの結婚。
 シャルル公爵は諦めるよりほかなかった。

「アリスも結婚するそうだな。おめでとうと伝えてくれ。俺にはセレナの花嫁姿ほど愛しいものはないが、アリスも美しい花嫁となるだろう。忙しくて結婚式に出席できないのは残念だよ。じゃ、セレナ、行くぞ」
 
 テオはセレナの腰に手を回すと、シャルルが何か言おうとするのを無視するように歩き出した。
 せっかくいい気分でいたのに、会いたくない男に会ってしまったと、テオの心は一気に荒れたが、セレナの体温を腕の中に感じ、ふっと息を吐きだす。
 そして、記念すべき日にあの男に振り回されるものかと、ひとり、頷いた。
 シャルルはふたりの後ろ姿を睨むように目を細めたが、ヴァルターに見られていると気づき、何事もなかったように自分の席に戻った。

「意地の悪いたぬき公爵は、まだ諦めていないようですね」

 ヴァルターは溜息を吐き、部屋から出ていくテオとセレナの後ろ姿を同情のこもった目で見送った。

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