寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
テオはセレナに寂しい想いをさせている事を申し訳なく思っているが、それを言葉にする時間も惜しむほど、夜、ふたりのベッドに並んだ途端抱き寄せ抱いてしまうのだ。
今もこうして近くにいるだけで体は熱くなり、手を伸ばしそうになる。
動きやすい簡素なドレスを身に着け城内で笑い声を上げているセレナも魅力的だが、今のように正装し着飾っているセレナもやはり愛しい。
昨夜、というより明け方近くまでセレナの体を貪っていたというのに、どこまでがっつけば気が済むんだと、テオは苦笑した。
テオの視線に気づいたセレナが、ふと視線を向けた。
「や、やっぱり変ですか? 似合わないですよね、こんなに素敵なドレスを着せてもらって、身の程知らずというか……」
テオの強い視線に、セレナは焦った。
膝の上に置いた手をぎゅっと握り、顔をしかめる。
「まさか。俺の奥さんはなんて綺麗なんだろうって言葉を失ってるところ」
テオはセレナの焦る姿がかわいくて、からかうように答えた。
「……そ、その軽すぎる言葉のどこを信じればいいんですか」
「ん? 言葉だけでなく態度でも教えてるけど。 昨夜あれだけ体に言い聞かせたのに、まだ足りないのか? 愛してるって、俺の体すべてで長い時間をかけてじっくりと……」
「も、もういいです。何も言わなくていいです。昨夜のこと……は部屋を出たらふたりの秘密です」
セレナは顔を真っ赤にして顔を背けた。
その仕草にテオは癒され、小さく笑った。
ここ数日、長い間カルロのもとで仕事をしていた宰相や大臣を交えての話し合いが続き、煮詰まっていた心が解放されるの感じる。
セレナとこうして軽口をたたき、寄り添う権利をようやく手に入れる事ができた。
その喜びを思えば、ミノワスターの王位を継ぐ面倒くささや側妃を差し出そうとする諸侯たちの作り笑顔を交わすわずらわしさは大した事ではない。