寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
聞き覚えのある声に我に返ったセレナは、熱い顔を隠すように周囲を見回した。
「セレナ、元気そうね」
「お姉様」
近くの貴賓席に着いているクラリーチェが小さく手を振っていた。
その隣には父であるランナケルドの国王と王妃が並び、セレナの姿を認めて小さく頷いた。
セレナはすっと立ち上がり、両手でドレスの裾を持ち、お辞儀をした。
再び腰かけてクラリーチェを見れば、以前よりも頬はふっくらとし、顔色もいい。
オレンジ色のドレスを着たクラリーチェは生き生きとした笑顔を浮かべていた。
セレナは彼女の近くに行きたい気持ちを抑え、手を振り返した。
「別人みたい」
病気がちで寝込むことが多いとは思えないクラリーチェの明るい姿に、セレナは驚いた。
その変化を最初に感じたのは、結婚前にクラリーチェの部屋に続く庭を元気に散歩している彼女を見た時だったと、セレナはふと思い出した。
それだけでなく、あの時セレナは偶然触れた腕にも筋肉のような硬さを感じ、違和感を覚えた。
日中部屋に閉じこもっているにしてはしっかりとした腕。
その時の違和感と、今、明るく元気な笑顔を浮かべているクラリーチェを重ねて、セレナは思い当たったように「そうだったんだ」と呟いた。