寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない



「昨夜の練習はばっちりでしたから、緊張することはないですよ。殿下なら、落ち着いてゆっくりと話せば大丈夫です」
「別に緊張してないから大丈夫。それより、いい加減『殿下』と言うのはやめろ。前はテオって言ってたくせに」

 テオの小さな声に、セレナはピクリと体を震わせた。
 テオとの距離をとるために敢えてそう呼んでいるのだが、テオがそれを気にしているとは思わなかった。
 どう言えばいいのかとセレナが悩んでいると、宰相が前方の壇上に現れ、式典の開会が告げられた。
 拍手が沸き起こり、国王が立ち上がった。
 国王に続いて、テオの挨拶となる。
 テオは拍手に応える国王を見ながら顔をしかめた。

「いちいち笑顔で応えなきゃならないなんて、国王って面倒だよな。……まあ、その代わりにセレナと結婚できたからいいにしても、そうでなきゃ国外逃亡してたな」
「……え?」
「あ? いや、なんでもないって事はないか。俺はセレナと結婚できるなら、王太子でも国王様でも、何でもやってやるって事だ」
「え?」

 思わせぶりなテオの言葉に、セレナは視線を向けた。
 テオの言葉の意味を、自分に都合のいいように考えてしまいそうだ。
 セレナと結婚できるのなら、国王という面倒な仕事を引き受ける事もいとわないとでも言っているようだ。

「セレナとの結婚は、最上級の幸せだな。その幸せを手放さないために、俺は国王になるって決めたんだ」

 小さいながらもきっぱりとした声に、セレナは目を見開いた。

「で、殿下……」

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