寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
王族たちが順にダンスを披露する中で、セレナとテオに並んで注目を浴びたのがカルロとクラリーチェだった。
華奢な体を隠すようにボリュームのあるドレスを着ているクラリーチェは、輝いていた。
互いから目が離せないとばかりに見つめあうクラリーチェとカルロは、物語の主人公のようだ。
色白の肌はカルロと抱き合っているせいかほんのり赤く染まり艶やかで、とろけそうな目は絶えずカルロを見ている。
カルロも燕尾服が良く似合い、クラリーチェを腕に抱いて軽やかなステップを踏んでいる。
病弱なせいで、これまでダンスのレッスンを十分に受けてこなかったクラリーチェは、カルロにリードされるがまま、不安定なステップを踏んでいる。
時おりステップを間違えて泣き出しそうな顔を見せるが、その都度カルロが支え、笑顔でクラリーチェを励ましている。
くりりとした大きな瞳とふっくらとした唇が印象的なクラリーチェは、まるで人形のように整った顔をしていて、周囲からの視線を集めている。
これまで人前に出る機会が少なかったクラリーチェを間近に見て、悔しがっている男性も少なくない。
離れた場所からクラリーチェの姿を見ていたセレナは、たどたどしい動きでダンスを踊る彼女をじっと見ているテオに気づいた。
カルロの体にしがみついているクラリーチェから目が離せないようだ。
彼女のおぼつかないステップひとつひとつに一喜一憂し、視線を逸らさない。
やはり、テオはクラリーチェを今も愛しているのだ。
その現実が、セレナの心にすっと収まった。