寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
テオはセレナが出て行ったバルコニーをちらちら見る。
侍女がセレナに付き添っていたから大丈夫だろうが、ドレス姿のセレナは、、彼女の美しさをこれでもかと見せびらかしている。
彼女の艶やかな姿に目を奪われ、言葉を失ったオトコたちはひとりやふたりではない。
テオと離れて庭に出たセレナに声をかけようとしているオトコがいてもおかしくはないが、まさか王太子妃に近づく命知らずはいないだろう。
警護の騎士も近くにいるし大丈夫なはずだが、セレナと離れていることに、テオ自身が耐えられそうにない。
「とりあえず、セレナを探しに行くから、またな」
今まで見たことのない笑顔を浮かべていたセレナが気になり、テオはクラリーチェとカルロに背を向けた。
「あ、テオ」
カルロがテオを呼び止めた。
面倒くさそうに振り向いたテオに、カルロは苦笑した。
「気づいてるだろうけど、あのやっかいなオトコ、何かしでかしそうだから、気をつけろ」
「……わかってる。セレナに何かあったら家は取り潰してミノワスターから追い出してやる。……まあ、そこまではしないけどさ」
テオは顔をしかめ、低い声で唸った。
「俺がアリスではなくセレナと結婚した怒りが鎮まらないらしい」
「それはお前とアリス嬢が周囲を欺いてきたんだから仕方ないだろう。シャルル伯爵の親バカ加減は呆れるほどだしな。だからお前が面倒に巻き込まれるのは仕方がないにしても、セレナが巻き込まれないように気を付けろよ」
カルロの忠告に、テオは面倒くさそうに頷いた。