寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
ランナケルドの市に行った時に知り合ったアデリーヌがその女性かと思ったが、彼女は既に結婚し妊娠していると聞いて驚いた。
そうなれば、やはりテオの心にはクラリーチェがいるのだと思っていたのだが、それは違ったようだ。
たしかにクラリーチェを好きだという気持ちはあるのだろうが、彼女以外にもテオを惹きつける女性がいるらしい。
それが、アリスという女性なのだろうか。
テオがセレナがミノワスターに来るのを待ちわびていたと聞いて、温かくなっていた心がいっきに冷える。
セレナは王宮から漏れ聞こえる楽しげな声を聞きながら、この場から逃げ出したくなった。
舞踏会の最後に、再びテオとダンスを披露しなければならないが、うまく踊れる自信もなくなった。
「セレナ様……」
エミリがセレナの顔をそっと覗き込んだ。
「あ、大丈夫よ。ちょとびっくりしたけど……テオ殿下は人気があるから、女性とのお付き合いがあったのも納得よね。それに」
国王には側妃をたてることが認められているのだから。
セレナはその事実を思い出し、心の中で繰り返した。