寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


「セレナ、大丈夫か?」

 バタバタと足音が聞こえたかと思うと、セレナの体は、いきなり何かに引っ張られ、暖かいものに包まれた。

「ケガはしていないか?」
「殿下……?」

 突然テオの胸に抱き寄せられたセレナは、そのままきつく押し付けられた。

「シャルル公爵、セレナになんの用だ。セレナを傷つける事は許さないぞ」

 テオは怒りを隠さない表情を、シャルル公爵に向けた。
 シャルル公爵は、突然テオが目の前に現れ、後ずさった。

「こ、これはテオ殿下……。傷つけるだなんて、滅相もない。私はただ、テオ殿下のお気持ちを」
「俺の気持ちがお前にわかるというのか? だったら今俺がなにを考えているのかもわかるな?」
「それは……」
「王室とのつながりが深いトルノー家の当主ならば、王太子妃への侮辱は不敬罪にあたるということも、わかっているな?」

 セレナを守るように腕に抱き、シャルル公爵に迫るテオに、普段見せるお気楽な王太子の面影はまるでない。
 愛する者を傷つけられた怒りと、王族である自信に溢れている。
 シャルル公爵からは相手を傷つける強さや勢いが消え、ひたすらテオに頭を下げる。
 肉が豊かについたふくよかな体を折り、謝る姿は滑稽だ。

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