寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


「まあ、仲がいいっていうより、ギブアンドテイク。互いに助け合っていたからな」
「助け合って?」
「ああ。俺も彼女も……」

 テオは話を続けようとしたが、シャルル公爵が青白い顔で控えているのを思い出し、口を閉じた。
 さっきまでの強気な言葉や図々しい態度はどこにも見当たらず、テオの怒りを買ってしまったことに震えている。

「シャルル公爵」
「は、はい。出過ぎた真似をいたしまして、申し訳ございません」

 シャルル公爵は、その場に膝をつき、頭を下げた。

「……頭を上げてくれ。俺とアリスに何もないとわかればそれでいい。彼女はサウス伯爵との結婚の準備を張り切って進めていると聞いているぞ。公爵家の娘を伯爵家に嫁がせる事に思うところはあるだろうが、サウス伯爵はいい男だ。アリスを幸せにするはずだから、安心しろ」

 シャルル公爵への声音に、さっきまでの怒りは見られない。
 シャルル公爵が一筋縄ではいかない腹黒い男だとしても、ミノワスターにその権威を知らしめている名家となれば、領民たちを守るためにそうならざるを得ない部分もあるのだろう。
 王家から派遣された騎士たちが領土を守り、管轄しているとはいえ、領主として領民たちを率いていかなければならない事に変わりはない。
 領土のために更なる家の繁栄を望むのは当然の事だ。
 アリスがテオの寵愛を受ければ、その望みは叶えられたはずだ。
 
 しかし、それはテオがセレナと結婚し、側妃は持たないと宣言したことによって叶わぬものとなった。

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