寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


「殿下……?」
「ん?」

 テオは腕の中のセレナに視線を落とした。
 アリスとの関係は、決して恋愛に基づくものではなかったとセレナに説明しなければならない。
 優雅に花開いたバラのように女性としての魅力が生まれつつある妻は、テオの言葉をどう受け止めたのだろうか。
 そして、シャルル公爵からアリスの存在を聞かされて、嫉妬しただろうか。

「殿下?」

 セレナの上目遣いの視線が、テオの胸を跳ねさせた。
 テオの体も途端に熱くなり、このままセレナを寝室に連れ帰って朝までベッドで過ごしたくなったが、舞踏会のラストダンスを任されている事を思い出し、堪えた。
 そして、晩餐会や舞踏会から距離を置くと宣言したアリスが心底羨ましくなった。
「……面倒だけど、もう一度舞踏会に顔を出してさっさと踊って、部屋に戻ろう」
 セレナの耳元に、体温と同じく熱い吐息が落とされ、彼女はくずおれそうになった足を再び踏ん張った。
 テオの甘い声と吐息は、王太子妃としての凛々しさを簡単に崩してしまうのだ。
< 188 / 284 >

この作品をシェア

pagetop