寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない



 口調は軽いものだったが、テオの瞳からは強い意志が感じられた。
 テオは、ランナケルドの川辺で出会ったセレナを愛しく思い、どうしても自分が幸せにしたいと思ったのだ。
 どうせ政略結婚しなければならないのなら、愛せる相手と結婚したい。
 テオにとっては、いずれミノワスターから離れた場所で生きるつもりでいた自分を根本から変えるという覚悟を伴う決意だった。

『じゃあ、俺にクラリーチェをくれ』

 テオの覚悟を感じたカルロもまた、自分の想いを諦めるのをやめ、腹をくくったのだ。
 ふたりはその後すぐ、クラリーチェに自分たちの想いを告げた。
 カルロには、クラリーチェが自分を好きだという確信があった。
 それは、ふたりが交わした視線の中に、恋心がはっきりと見えたからだ。

『テオ王子には申し訳ありませんが、私の気持ちを口にしてもいいのなら、私はカルロ王太子と共にランナケルドを治めていきたいと思います』

 クラリーチェの大人びた声音と表情から、彼女の決意は明らかだった。
 テオはセレナと結婚したいと願い、カルロとクラリーチェはお互いを伴侶として求め合っていた。
 この日から、まだ十歳で周囲の状況をわかっていないセレナには内緒で、クラリーチェとテオ、そしてカルロは、四人の幸せのために動き出したのだ。


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